毎月勤労統計の誤りが雇用保険に及ぼす影響と今後の動向

 厚労省がやらかしてしまった【毎月勤労統計問題】
それによって雇用保険労災保険の給付額が違っていた!
なんて話が今年に入ってから報じられていたと思います。
今回はそのお話・・・
 
毎月勤労統計というのは雇用者数、給与、労働時間に関する統計調査のこと。
そして、問題となるのは給与に関する統計の間違いです。
 
簡単に説明すると
 東京都の給与って全国でみても高いほうですよね。
その東京都の給与が低く見積もられていました。
それによって、平均給与額が本来よりも低くなってしまっていたんです。
 
 
雇用保険の給付額の計算方法(ザックリ版)
  雇用保険の給付額は個々の労働者の賃金をもとに計算されています。
  では、ザックリと計算方法について触れておこうと思います。

 

  原則は
  ①退職日前の6か月分の給料÷180=賃金日額
  
  日給や時給、出来高払い制などの場合は
  ②退職日前の6か月分の給料÷6か月間の労働日数×70%=賃金日額
  ①と②を比べて高い方が賃金日額になります。
   *賃金日額というのは実労働日と休日も含めた1日当たりの平均給与というイメージです
   *退職日前の6か月というのは月に11日以上の賃金支払い基礎日数がある6か月のこと。
   賃金支払い基礎日数=労働した日+有給休暇+休業手当を受けた日など。
   詳しくは今後、雇用保険シリーズで説明していきます。
 
  ちょっと具体例で説明します
  1日の給料が5,000円で毎月12日働いている方の場合
  (毎月60,000円の給料なので6か月分の給料は360,000円、労働日数は72日)
  ①の計算方法では
  360,000円÷180=2,000円
  ②の場合
  360,000円÷72×0.7=3,500円
  ②>①なので
  この場合は3,500円が賃金日額となります
  
  ちなみに、この賃金日額の45~80%が基本手当(失業手当)の
  1日分の額になります。



  

誤った平均給与額が雇用保険にどう影響するのか?

  

 では、本題に入ります

 先ほどでてきた賃金日額には下限、上限額が設定されています。
 その下限額と上限額の決定には毎月勤労統計から算出する
 平均給与額が関わっているんです。
 平均給与額が低く見積もられていたため
 下限額と上限額も低く設定されていました。
 

  どういう問題が生じるのか具体的に説明します

  *令和元年の下限、上限額
     下限額:2,480円
     上限額:年齢によりますが16,520円が最高額
  
  先ほどの計算方法で賃金日額が2,000円になった人の場合
  その方の賃金日額は令和元年の場合、下限額の2,480円になります。
  ですが、そもそもこの下限額が違っていたら・・・
  
  平均給与額の上方修正により
  下限額が2,500円に修正されたとすると20円の誤差が生じます
  また、上限額も同様に考えられるので誤差が生じてきます
 
  
  ん~、でも私は賃金日額が10,000円だし
  下限額にも上限額にも関係無さそう
  チッ、増えないのか・・・という人
  そうとは限りませんよ~!
 
  賃金日額の45~80%が基本手当(失業手当)になると
  上に書いたと思います。
  45~80%ってどうやって決まるの?というと
  賃金日額が〇〇円~△△円・・・・・✖✖%
       ▢▢円~♤♤円・・・・・♧♧%
  といった具合に賃金日額の区分によってが変わるんですね
  そして、この区分にも平均給与額が関わっているんです。
  区分が変更になれば・・・
  というわけで差額が支給される可能性は十分ありますよ!
 
       ちなみに、金額が具体的にいくらなのかはわかりません。。。
  受給していた期間の長短にもよりますし
  毎年上限額等は見直されているので受給の時期によっても
  変わってくるからです。
  
 
  最後に、今回の件に関しては
  平成16年8月以降に受給したことがある人が対象です
  今後の流れとしては
  給付の種類にもよりますが8~11月ごろに
  対象の方に通知されて支払われる予定です


 
 
                               
  
 
 


SK社会保険労務士・行政書士事務所

横浜市港北区小机町で社会保険労務士,行政書士をしております。法人,個人事業主だけでなく個人のお客様のご相談も承っております。お気軽にご相談ください。