労災保険②~通勤途中で寄り道した場合~

前回の記事で、通勤災害が認められるには
合理的な経路、方法が必要だと書きました。

今回は、合理的ではない経路を通った場合どうなるのか

通勤途中で寄り道した場合について書いていきます。

 

原則

通勤途中で移動を中断した場合や経路を逸脱した場合は
中断、逸脱以降は事故等にあっても通勤災害にはなりません。
 
退社後で説明してみると
            
会社から自宅の途中にA店という飲み屋があったとします。
そのA店で一杯飲んで帰った場合は
会社~A店までは通勤と認められますが(実線部分)
A店~自宅までは通勤扱いになりません。(点線部分)
本来の帰宅経路の途中で道草、これが中断です。
 
次に会社からB店の飲み屋に行った場合は
会社からXまでは通勤経路を通っていますが(実線部分)
それ以降は迂回した経路になっています。(点線部分)
そのためX以降の経路は通勤扱いになりません。
本来の帰宅経路を脱線した、これを逸脱といいます。
*つまり図の点線部分が通勤とは認められない経路になります。

 

中断、逸脱の例外

通勤とは無関係の事をした場合や、それを目的として経路を外れた場合は
それ以降、原則は通勤災害にはならないんですが
例外のケースについて説明していきます。
 
①日常生活上必要な行為であること
②通勤途中で行う必要があり最小限度の行為であること
上記が満たされていれば
中断、逸脱後に本来の経路に戻ったあとは通勤扱いになります。
 
①、②の具体例を挙げてみます
・スーパーなどで日用品の購入
・美容院に行く
・選挙の投票に行く
・病院に通院する
・配偶者、子、両親、配偶者の両親、孫、祖父母、兄弟姉妹の介護
 etc.
これらの場合は通勤経路に戻ってからは通勤扱いとなります。
*立ち寄った店内で事故にあったり経路を外れている間はNGです
 
 
さらに、もう1つ例外があって
下記に該当した場合は中断、逸脱中やその後の経路も通勤中として扱われます
・経路上のコンビニ等で雑誌やタバコを買う
・経路上の自動販売機でジュースを買って飲む
・経路上で短時間、手相をみてもらう
・経路の近くのベンチで短時間の休憩をする
・経路の近くの公衆トイレを使用する
 etc.
生理的な事やホントにちょっとした寄り道ならOKというイメージですね
 
 
*通勤災害豆知識
業務中の労災と違い病院にかかった場合、費用負担があります
ただし、負担額の上限は200円。
1回の通勤災害で1度200円払ったら、その後は0円です。
200円だけ負担って、どんな意味があるんだろう。。。
また、休業することになった場合は最初の3日間は保障がありません。
4日目から休業給付+休業特別支給金=およそ平均賃金の80%が支給されます

 

 

 


SK社会保険労務士・行政書士事務所

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