知っておきたい遺族基礎年金の知識

 

意外と知られていない障害年金、遺族年金。
いざという時のために、ということで
 今回は、遺族基礎年金(国民年金の遺族年金のこと)について説明します。 

 


 遺族基礎年金を受給するための要件

 

①被保険者が死亡した時
②被保険者だった者が日本国内に居住していて、60歳~65歳未満の時死亡した場合
③老齢基礎年金を受け取っている者が死亡した場合
保険料納付済期間+保険料免除期間+合算対象期間=25年以上の者が死亡した場合
 *現在、老齢基礎年金は下線部が10年以上で受給できますが
  遺族基礎年金は25年以上必要なので注意してください
 *①~④のいずれかを満たす必要があります。
 
 

 保険料納付要件

また、上記の①、②に該当する場合は保険料納付要件が問われます。
 
原則は、死亡した日の前日において
死亡日の属する月の前々月までに
被保険者期間の3分の2以上の保険料が支払われていること。(免除でも可)
 
裏を返せば、死亡した日の前々月までに
保険料の未納期間が3分の1以下であればOKです。

*保険料納付要件を見るときは合算対象期間は無視して計算します。

 

特例として令和8年4月1日までに死亡した場合で、65歳未満だった場合
死亡日の属する月の前々月から1年以内に未納が無ければ受給できます。
 
*死亡した日の前日の時点での納付状況が確認されるため
 死亡後に慌てて未納分を納付しても受給できません。

受給できる遺族は?

 

被保険者によって生計を維持していた配偶者、子
*子は18歳の年度末まで(1、2級の障害者の場合は20歳まで)の子。
 既に結婚している子は対象外です。
 
 大事な注意点があります。
遺族基礎年金は遺された子供のための養育費という名目で支払われるため
子がいない場合は、受給できません。
また、子は死亡した者の子であることが必要です。
 
 ちょっと図解します。
 
 
Aの場合・・・妻、子に受給権(実際は妻に優先支給されます)
Bの場合・・・子が妻の連れ子で養子縁組していない場合です。
       この場合は法律上、夫の子ではないため
       妻、子ともに受給できません。
Cの場合・・・Bの逆のケースです。
       子は夫の子なので受給権が得られますが
       法律上、妻には子供がいないので
       妻は受給権が得られません。
 
*まとめると、【子のある配偶者】、【子】が受給できる人になります。
 
 相続では、配偶者は常に相続権を得ますが
年金は配偶者が受給権を得られない場合があることがわかると思います。

 年金額は?

 

配偶者が受給する場合

 780,900円✖改定率をベースに
子1人につき224,700円✖改定率が加算されます。
ただし、3人目の子供からは
1人につき74,900円✖改定率の加算となります。
 
*前述したように1人は子がいないと受給できないので
 実質、最低でも780,900円✖改定率+224,700円✖改定率
                =100万円超が受給できます。
 
 子が受給する場合
 780,900円✖改定率をベースに
2人目の子がいる場合224,700円✖改定率が加算されます。
*1人目の子には加算がつきません。
3人目の子供からは
1人につき74,900円✖改定率の加算となります。
 

 受給権の失権

 

配偶者、子に共通する失権事由

 
・死亡した時
・婚姻した時
・直系血族、直径姻族以外の養子となった時
(赤の他人の養子になった時)
 

配偶者の失権事由

 
・子のいる配偶者に該当しなくなった場合
*子が18歳の年度末を過ぎた場合や
 子の死亡、養子、婚姻した場合など
 

子の失権事由

 
・18歳の年度末を過ぎた場合(障害者は20歳まで)
・離縁によって死亡した者の子ではなくなった場合
・18歳の年度末以降に障害が軽減されて1級、2級に該当しなくなった場合
 
 

 

 


SK社会保険労務士・行政書士事務所

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