出産育児一時金・出産手当金

健康保険や雇用保険に加入していると

出産時の費用や産休中の所得補償が受けられます。

今回は出産にまつわる社会保険の給付について説明します。


(家族)出産育児一時金

 

支給要件

健康保険の被保険者、被扶養者または、国民健康保険の被保険者が
妊娠4ヶ月(85日)以上で出産したときに支給されます。
 
*妊娠4ヶ月以上の出産であれば
 死産、流産(人工中絶含む)、早産でも支給されます。
 
 

支給額

40万4,000円+α=42万円


 
 

出産費用の支払い方法

3通りの方法があります
 
①窓口で費用を支払ったのち健保組合等に請求
 病院に支払ったお金が健保組合等から後日キャッシュバックされる
②直接支払制度
 病院と契約を結んで、健保組合等から病院に直接支払ってもらう制度
③受取代理制度
 事前に健保組合等に申請しておくことで健保組合等から病院に支払われる制度
 
②、③は出産費用と一時金の差額分を支払えばそれで清算完了するので
一時的とはいえ大きな費用負担が発生する①よりお勧めです。

 出産手当金

パートで働いている方が社会保険に加入するかどうか
1つの判断材料になるのがこの出産手当金の有無です。
この手当は出産する人が被保険者でなければ支給されません。
夫の扶養に入っている妻の場合はNGです。
また、基本的に国民健康保険も出産手当金がありません。
 
 

支給要件

被保険者が出産した時
出産日以前42日(出産日含む)~出産後56日の間
働かなかった日に支給されます。
*多胎妊娠の場合は出産以前98日
 
労災保険や傷病手当金の場合は働くことができなかった日に支給ですが
出産手当金は働かなかった日に支給されます。
 
 

出産手当金の額

産休に入った月以前の12ヶ月間の標準報酬月額を平均した額に
30分の1と3分の2をかけた金額が支給されます。
 
よくわからん!という方は
産休前1年間の平均月給✖3分の2で大体の金額がわかります。
 
 

出産予定日と出産日がずれた場合

 
 
出産が予定日より前にずれた場合
原則通り産前42日、産後56日が手当の支給対象となりますが
通常、産休の取得は予定日を基準に休むため
実質、産前休業が短くなります
出産予定日以前42日より早めに休みを取得していれば別ですが
通常通り働いていると
仕事を休んでいませんから産前分の手当ての支給日数が短くなります
 
 
出産が予定日より後にずれた場合
これはお得な?パターンです。
出産がずれた分だけ
産前休業がプラスされて42+α日分受給できます
 
図の通り、産後休業は出産日のあと56日で変動しません。
加減が生じるのは産前だけと覚えておくと良いです。
 
 

産休中に給料の支払いがある場合

産休中、会社から給料が全部または一部支給される場合
原則、出産手当金は支給されません。
ただし、支払われる給料が出産手当金の額より少なければ
差額分が支給されます。
 
結局、受け取るものの内訳が違うだけで
最低でも出産手当金分は確保できるということになります。

退職後でも受け取れるケース

 

退職後の出産育児一時金

 ①退職日まで1年以上被保険者だった人
②出産が資格喪失後6ヶ月以内
 
①、②両方を満たす人が受給できます。
*②で出産が遅れて6ヶ月過ぎてしまうと受給できません。
 
出産育児一時金は被扶養者や国民健康保険の被保険者にも支給されるので
そんなに気にする必要はないかなと思います。

 

退職後の出産手当金

①退職日まで1年以上被保険者だった人
②退職時に受給している
 
①、②両方を満たす人が受給できます。
*②で要注意なのは
 退職前から引き続き受給していないと
 出産手当金が受給できなくなります。
 
 休んでいないと支給されませんから
 退職日は必ず休むこと
 挨拶のため出社して勤務扱いになってしまうとアウトです。
 
 ちなみに、前述した産休中に給料が支払われていたため
 受給していなかった場合はセーフです。

 社会保険料の免除

産休を開始した月から産休終了月の前月まで免除されます
*月末に終了した場合はその月まで

 

 

 
 
 


SK社会保険労務士・行政書士事務所

横浜市港北区小机町で社会保険労務士,行政書士をしております。法人,個人事業主だけでなく個人のお客様のご相談も承っております。お気軽にご相談ください。